光合成水素生産研究所
エネルギー・コスト分析

水素の分離、精製、貯蔵、運搬、利用など関連する多くの技術が発展途上にあます。

ここに示したエネルギー収支及びコストの試算は予備的なものであり、今後改定を重ねていく予定です。

<仮定>

シアノバクテリアによる水素へのエネルギー変換効率1.2%

(なお、全太陽光に対する理論的最高効率は6.2-7.3%。将来の目標値は2%以上)

  1. 蓄積した水素を2カ月に1度収穫します(水素濃度は50%)
  2. バイオリアクターは2年ごとに更新します
  3. 水素生産から目的港に運搬までは、図のようなプロセスによります

<光生物学的生産から目的港までのプロセス>

光生物学水素生産のプロセス図

正味のエネルギー生産が可能

エネルギー回収率0.5 (洋上で生産された水素エネルギーの50%が分離、精製圧縮、運搬等で失われ、50%が目的港に圧縮水素として運ばれます)。

  1. 水素生産(太陽光に対する効率1.2%)→18kWh/m2/年
  2. エネルギー消費(上記水素生産に対する割合)50%

エネルギー消費内訳表

内容 消費率 (%)
合計 50%
バイオリアクター(プラスチック) 8%
PSA 15%
圧縮 6%
その他(海上輸送他) 11%
装置等制作(造船、PSA等) 10%
Amos W. A.(EREL Report 2004)を参照に試算

【参考:PSAの効率】

中村容一他(将来型燃料高度利用研究開発プロジェクト)は、PSA効率79-84%を報告しています。
化石燃料から水素を製造する場合の総合効率:61-68%
(内訳、改質効率:82%、PSA効率:79-84%)
www.pecj.or.jp/japanese/report/2007report/07sin03.pdf

水素の価格(目的港における)は約27.2セント/kWhと試算される
これは、太陽光電池とほぼ同コストである。

水素の目標価格(円/Nm)(オンサイト価格)
現在 2010年 2020年 2030年 将来
NEDO 150 80 - 40 -
水素エネルギー協会 100 70 60 50 40
※燃料電池・水素技術開発ロードマップ
参考:原油1L=水素 3.7 Nm
水素の目標価格(円/kWh)(オンサイト価格)
現在 2010年 2020年 2030年 将来
NEDO 42.5 22.7 - 11.3 -
水素エネルギー協会 28.3 19.8 17 14.2 11.3
cents/kWh
H2 (Cyanobacteria) 27.2
H2 (Chlamydomonas) ( 1$/m2) 22.8
H2 (Chlamydomonas) (10$/m2) 34.5
Crude oil (50-150$/barrel) 2.9-8.8
Gasoline (1.5-4$/barrel) 4-11
Sakurai, H., Masukawa, H., Kitashima, M. and Inoue, K.
A feasibility study of large-scale photobiological hydrogen production utilizing mariculture-raised cyanobacteria (in press)
In “Recent Advances in Phototrophic Prokaryotes” (ed. Hallenbeck, PC), Springer Verlag