光合成水素生産研究所
海面を利用した水素生産(構想)

将来の大規模水素生産

1、シアノバクテリアをプラスチック製の大型バイオリアクター(生物反応用容器)に入れ、波浪の静かな海面に浮かべて水素を生産

大規模水素生産に適した海域

想定する海域
紫で色づけした領域が無風帯

2、海面で生産する場合は100 k㎡程度をカバーする船団方式

工船(factory ship):
水素分離精製のためのガス選択的透過膜、PSA(圧力スィング吸着)装置、 コンプレッサー(20MPa程度に圧縮)、水素貯蔵容器を装備した船
補助小艇:
バイオリアクター設置、水素収穫、ガス交換の作業で、工船を支援します
運搬船:
容器に入れた圧縮水素を目的港に運搬

3層プラスチックバックのイメージ図

3層のプラスチックバックからなるバイオリアクター
内層:培養保持フィルム,液体は漏らさないが気体は透過する. 中層:水素低透過性フィルム,内層からの気体を保持する. 外層:耐候・耐衝撃フィルム,紫外線や物理的衝撃から内層・中層を保護する. 封入した二酸化炭素は循環的に利用される.

水素バリアー性フィルムとしては、たとえば、クレハ(社)製のベセーラ®があります。 このフィルムは水素の透過性が低いので、数日間の実験で水素の漏れは極くわずかでした。 またフィルムは透明なので、シアノバクテリアの光合成水素生産に適しています。

低コスト化のためにプラスチック製バイオリアクターを提案

太陽光強度を1,500kWh㎡/年、エネルギー変換効率を1.2%(当面の目標値)と仮定すると、 生産される水素は18kWh㎡/年、精製/運搬にこの半分が使われるとすると、 最終的に得られる水素エネルギーは9kWh㎡/年程度です。 したがって、バイオリアクターの低コスト化が必須です。

私たちは、3層のプラスチックバッグからなるバイオリアクターを提案しています。 淡水ベースの培養液を入れたバイオリアクターを海水、汽水、塩湖水に浮かべれば、 比重差によりバイオリアクターは薄く拡がり、光合成生物による物質生産にとって好適な状況が自然に達成できます。 3層のバッグの内層は培養液保持、中層は水素バリアー、外層は保護用の強度の高いものです。 使用後のプラスチックフィルムは、リサイクルにより、経費及びエネルギーの削減ができます。