光合成水素生産研究所
研究構想(2)
海面を利用した水素生産の必要性
  • 太陽光エネルギーは莫大
  • 人類が消費する化石燃料エネルギーは莫大(食物エネルギーの約20倍)

地球表面が受ける太陽光エネルギーの総量は、人類が燃料として消費する化石燃料(石炭、原油、天然ガス等)の 6,000 〜 7,000 倍に達するほど莫大です。

太陽光エネルギーと社会的エネルギー消費 (1018J/年)
数量 比率
対A 対B
世界 一次エネルギー消費(2004) 427 1 -
[化石エネルギー消費(2004)B] (388) 0.88 1
光合成純生産 4,200 9.8 11
太陽光エネルギー 2,700,000 6,300 7,000
食物と摂取エネルギー 21 0.049 0.054
日本 一次エネルギー消費(2004)  A 23.7 1 -
[化石エネルギー消費(2004)  B)] (19.7) 0.83 1
太陽光エネルギー(陸地) 2,100 89 107
同上(含排他的経済水域) 33,000 1,400 1,700
日本のバイオマス利用可能量 1.26 0.053 0.064
[人類は食物の20倍のエネルギーを消費。陸上バイオマスだけに多くは期待できない]

仮に、太陽光の0.015%を有効利用できれば、地球温暖化の問題はたちどころに解決できるはずですが、 太陽光強度はそれほど高くないので、その経済的利用は容易ではありません

→太陽光エネルギーでは経済性の確保が必要

しかし、長期的戦略に基づいて、研究開発を積み重ねれば、化石燃料代替エネルギーの大規模生産は可能だと、私たちは考えます

人類が消費する化石燃料は、食物摂取エネルギー(1人1日2,000kカロリー、68億人)の20倍にも達するほど莫大です(平均して、アメリカ人は 食物摂取エネルギーの約100倍、日本人は約50倍を消費)。 仮に、現在の食糧生産と同じレベルのエネルギー作物(サトウキビ、アブラヤシ、トウモロコシ、ナタネ等)が生産できたとしても、世界の化石燃料消費の約5%にしかなりません。 生産、加工に必要なエネルギーを考えると、実際に代替できるのはせいぜいこの半分程度(2.5%)でしょう 沖縄の全耕地にサトウキビを植えても、生産されるバイオエタノールは、日本の化石燃料消費の0.1%にも満たない量です

陸上エネルギー作物の利用には、このような量的限界があるので、私たちは海面を利用して、光合成微生物シアノバクテリアにより水素を生産する方式を提案しています

日本の鉱物性燃料輸入総額は20.3兆円(07年)、27.6兆円(08年)で、その10%台の代替ができれば非常に大きな経済効果をもたらします。
なお、陸上バイオマスには量的限界はあるものの、地域経済振興の観点からはかなりの経済的効果が期待されます。 たとえば、鉱物性燃料の0.1%を代替できれば、200億円以上(日本のコメ産額の1%以上)の経済的効果を生むので、 その研究開発も当然ながら振興すべきものと考えます。